2021年7月8日木曜日

『聖火への祈り』-貧者の一燈- 原文 中外日報(7/7発行)

 五輪の聖火は、

古代オリンピック発祥の地ギリシャにある

ヘラ神殿跡で採火されます。

太陽光を集めた凹面鏡へトーチをかざし、

自然の力で着火する姿には「火は神の恵み」

というメッセージが伝わってきます。

平和・団結・友愛といった理想を祈るように、

また大会を見守るように輝く聖火は

まさにオリンピックの象徴です。

その聖火をただただイベントとして

各地で繋いでいく姿を見ると、

少し残念な思いがします。

 そんなある日、

パラリンピックの聖火のことを知って驚きました。

発祥の地、英ストークマンデビルで採火した火と

47都道府県で採火した火を最終的に

東京都庁でひとつにして聖火にするというのです。


宮島・弥山の「消えずの火」。

善通寺、大窪寺の本堂。

犬鳴山・七宝龍寺は柴燈護摩から。

広島平和記念公園「平和の灯」。

神戸市東遊園地「1.17希望の灯り」。

など合計880カ所以上。


各採火の地、そのいわれを調べますと

熱くこみ上げるものがございます。

私たちの思いのこもった聖火は

パラリンピックの方ではないかと思うほどです。

 奈良時代より我が国で営まれた「万燈会」にて

神仏に通じると伝えられてきたのは

「長者の万燈」ではなく「貧者(女)の一燈」です。

その功徳を語り、多くの人々から少しづつ

願いの込められた一燈、一華を集め

ご本尊さまにお供えし、

「明るい未来を祈念し創造しよう」

と支え合って励まし合っての尊き法会であります。

強き者の大きな一燈よりも、

弱き者の小さき一燈の集合体が神仏を動かす、

ということ我が国の信仰であり、

宗教活動の原点かと思います。


今一度、皆で一燈を捧げ

東京都、また日本全土の感染拡大防止と早期復興、

東京五輪の無魔成満を祈念し、

思いをひとつにして日本選手団を応援しましょう。

合 掌

(以 上)


記事掲載に当たり、

ご縁と加筆修正をしてくださった

中外日報編集員Iさまに

厚く御礼申し上げます。


『中外日報社HP』

https://www.chugainippoh.co.jp/

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